求人サイトで本当に知りたくて、絶対に載っていない情報。

転職サイトを見ていると、魅力的な文言が並ぶ。

「未経験OK」「年齢不問」「海外駐在」などなど。

 

応募単価によって評価される求人サイトの世界においては応募数をあげることが重要であり、そのための広告表現を考えることが求人サイトの作り手としての役割である。

 

働き方改革によって職場環境の整備が大きなトレンドとなる中で、各社もそのような魅力的な文言に沿うように制度を整えてきている。それはそれで働き方改革が社会の中で大きな流れとして認識されているようで、素晴らしいことだと思う。

 

ところで、全ての企業が「人の募集をすること」の意味は何なのだろう。

 

欠員が出たから。増員募集だから。新規事業ができるから。

 

様々な理由があると思う。自分自身もそんな媒体屋の端くれであるから、そんな情報が気になる。そして、ほとんどの担当者がそれを教えてくれるし、広告の中に募集背景を記載することも結構多い。そして、それがリアルな職場の実態を示すための情報として、ユーザーの選択を助けることになるとも考えている。

 

ただ、求人サイトにはどこを見ても具体的なことが書いていないことがあると思う。

 

それは、その業界、その仕事の将来性。

 

これまでにないくらいのスピードで、世の中が変わっている。技術と質の日本ブランドを世界に展開し、言葉の通り「一時代」を築いた企業が今、苦境に立たされている。東芝、シャープ、野村証券みずほ銀行日産自動車、など。(一部はメーカーではなく金融屋だけど)

 

日々のニュースを見ていても、それらの企業の状況が報道され、その責任の所在を求める動きがある。そこには経営者としての経営判断に重きが置かれる。あの判断が間違ったから、今この企業は苦境に立たされている。経営陣が時代の大局を捉えられなかったから、競争に負けている。そんな視点での報道がほとんどである。

 

確かにそうなのだけれど、経営判断とかそれ以前の問題として、「時代が変わっている」のである。そしてそれは、過去何十年にもわたり指摘されていたことであり、そのリスクも周知だったのである。どんなに賢い人たちが集おうとも抗えない時代の流れがある。

 

おそらく、30年前のシャープの求人広告には「世界に誇る日本の技術を世界に」などという文言が載っていたに違いない。でも、その広告の中にはほぼ間違いなく「海外製のより安価で高品質の製品が出てきている」「今は開発途上国のアジアの国々で、世界を席巻するかもそれない技術開発が行われている」などとは書かれていなかったはずである。おそらく賃金や募集要件を除き、アピール文は30年前と今とでそんなに変わらないと思う。

 

そしてその30年後、シャープは台湾企業の傘下になり、東芝の家電事業は中国企業に譲渡されている。

 

今、自分自身もキャリアを考える中で求人広告に目を通すことも多いが、本当にその企業に応募し、その企業で働くかを決めるにあたっては、その広告以前に「その仕事や業界が今後どうなるのか」という視点を自分で考える必要があると考えている。地道に本を読み、ニュースを読み、ホームページを覗き、自分なりにその企業や業界の流れに対して考えを持った上でないと、本当に取り返しのつかないことになるかもしれない。

 

もちろん考えたって外れるときもある。30年前にも自分なりに時代の流れを読んだ上で上のような企業に入社した人もいるだろう。でも、そんな人はあそこまで経営が傾くまでに会社を出るという決断ができるだろうし、次を探すときにもその失敗を踏まえて考えることができる。

 

一番怖いのは、広告に書いている内容を深く考えず、「こんなはずではなかった」と後から後悔すること。

 

時代を読む。大局を掴む。考える。

 

それがキャリアを作っていく上で欠かせない要素だと、媒体屋をしていて強く感じる。