人間関係で悩まない「距離を測る」という考え方。

営業の仕事で企業の担当者や経営者と話していると、社員が退職するのに挙げる理由で多いのが、人間関係であるという。

 

同僚との関係、上司との関係、顧客との関係など。

 

仕事をする上で、というか生きていく上で他の誰かと関係を築いていくというのは避けて通れない。そして、その他者との関係が自分自身の人生も大きく左右していく。

 

僕自身、高校時代とかは人間関係にずいぶん悩んだ。同じクラスの人たち、部活で会う友人、それまでに出会った小中学校の友人。いろんな人と接して、話をして、仲良くなって、連絡先を交換して、それでも、何か満たされないというか、不安だった。

 

毎日会う人たちだから、多少気が合わなくても仲良くしないといけないとか、逆に自分が仲良くなりたいと思っているのに、この人は自分と仲良くしてくれるのかどうかなど、人と話すたびにいつもくよくよ考えていたように思う。

 

そのまま大学に入り、さらに会う人が多くなった。バイト先、サークル、大学の学部、旅行先であった友人など。友人の数が増え、自分が所属しているコミュニティが今までの何倍にも増えた。そして社会人になった今も、関わる人やコミュニティはさらに多くなっている。

 

でも、年を重ねていき(まだ25だけど)、関わる人が多くなるにつれ、人間関係がすごくに楽になっていると最近よく感じる。

 

かつての自分であれば、中学時代から少し行動範囲が増え、所属するコミュニティが増えただけで人間関係に疲れていたので、関わる人間が多くなった今の方がもっと疲弊するのが普通の流れだと思う。でも年々、人間関係についてストレスフリーになっていくのはなぜだろうか。その理由が最近言語化できるようになってきた。

 

その理由は、関わる人に対して、自分自身が適切な人間関係の距離感を取れるようになってきたからだと思う。

 

「距離感」と書くと、人と距離を置くようになったとかで解釈されるかもしれない。でもそれは違っていて、「距離感」を漠然と意識し始めてから、ぐっと近い関係になって何でも話せる友人もできた。つまり、ここでいう距離感とは言い換えると、関わるその人だけの快適な人間関係ということだ。

 

一つ例を出す。僕の両親の話だ。

 

僕の父親はずっと地方に単身赴任をしていた。家族全員で揃って会うのは週末か長期休みの時だけ。それが15年くらい続いていた。 その間、母親は子育てで大変だったと思うが、特に大きな事件もなく、自分も含め兄弟全員が独立し、両親の子育ては一段落ついた。

 

最近実家に帰ったときに思うのだが、父と母はすごく仲が良いということだ。別に2人でいつもどこかにいくという訳ではない。お互いに話したいことがあれば気軽に話すという感じ。いつもリラックスしているし、ギクシャクした何かもない。基本的に父は口数の多い人ではないからそこまで多くの会話はないのだけれど、喧嘩もすることなく、うまくやっていると思う。母が言っていたが、単身赴任をして、父はさらに口数が減ったらしい。笑

 

そんな父と母の姿を見て思うのだが、今こうして父と母が仲良くしているのは、父が15年間平日に家にいなかったからではないかと思う。母も父の世話を焼かずに子どもに集中できるし、子供が成長すると年々負担も減っていく。一人の時間も年々多くなり、好きなドラマを見る時間も増えていった。そして、父が帰ってきたらそのときは気軽に話をする。

 

おそらく、父と母は、お互いに快適な距離感を見つけたのだろうと思う。

 

それは、頻繁に2人で旅行したり、毎日電話したりというのではなくて、週末に父が帰ってきたら気軽に話をし、父は母の話を聞き、母は父の話を聞く。世間一般にいうおしどり夫婦とは少し距離があるようなそんな関係が、父と母の最適な距離感なのだと思う。

 

このことは、夫婦関係だけでなく、人間関係全般にも広く当てはまるのだと思う。

 

何でも話せる友人がいる。特定の話題については深く話すが、この人とはこの話はしないという友人もいる。また、何年に1回しか合わないけど、話しているとすごく楽しいという友人もいる。毎日会うけれど、ほとんど業務連絡でしか話をしない人もいる(仲が悪いわけではなくて)。

 

いろんな人が自分の周りにはいて、その人それぞれに、自分自身との適切な距離感がある。その距離が近いから良い関係、遠いから悪い関係というわけではなくて、その距離感が適切であるのが最も良い人間関係なのだと思う。

 

夫婦だから常に近くにいないといけない。

恋人同士だから頻繁に会わないといけない。

親友だから何でも話さないといけない。

 

人間同士の距離が近いことが良い人間関係であると広く認識されるが、本当にそうなのだろうか。僕の父や母のように、夫婦でも少し距離があっても仲が良いのは、良くない夫婦関係なのだろうか。

 

僕はそうは思わない。

 

関わる人それぞれに適切な人間関係の距離感があると思うし、それが近いか遠いかは重要ではなくて、その関係を快適に思えるのかが大切なんだと思う。

 

もう少しこの人と近づきたいと思えば、それを素直に行動や言葉で示し、お互いに近づくということを認識し合えば良いし、それでうまくいかなければ、自分や相手に問題があるのでなく、その距離感が適切でなかったというだけだ。そのときはそっと離れて、元の距離感に戻ればいい。そんな経験は誰しもがあるはずだと思う。

 

だから、無理に近づこうとしない。遠いからといって不安になる必要もない。

全ては距離感が大事ということだ。人によって様々。

 

僕自身、今こうやって関わる人が増えるのは楽しい。そしてその中で、その人との適切な距離感をつかむことで、これからも最高の親友やパートナーを見つけたいなと考えている。